先日、9月4日(水)にAWS Transformation Day Tokyo 「リーダーズトラック:デジタライゼーションの実現に向けて」に参加したので、備忘的にまとめておく。
・「リーダーズトラック:デジタライゼーションの実現に向けて」
・2019/09/04(水)13:30 – 17:30
・https://aws.amazon.com/jp/about-aws/events/2019/transformation-day-tokyo/
- 最新技術を活用したDXはもうPoCフェーズではなく、本番導入フェーズに差し掛かってきている。
- DXにおいて、クラウド/IoT/AI/BI/MLなど、課題に対応するためのソリューションも多数出てきているため、それらをどのように活用していくかがキーになる。
- AWSを利用することでDXにおける失敗コストを最小限に留め、トライアル回数を増やせる。
DXへの取り組み
■DXの定義(出典:IDC)
企業が外部エコシステム(顧客、市場)の破壊的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネス・モデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること
DXと聞いてまず何となく関連付くのがRPAではないでしょうか?事務処理などのオペレーションは、まずRPAによって人間が実施していた作業を置き換え、次にRPA自体の効率化を検討し、AI技術を活用した更なる高度化を目指すという順序でRPAを導入するのが定説です。ただし、人間がやっていることをそのままロボットに移行すると人間の稼働は空けることが出来るが、そのままでは人間がやってた以上の効率化は難しい場面があるので、どのように進めていけば効率的になるかを、ゼロベースで考える必要があります。
クラウドを活用してDXを加速させる
システム化のコストを低く抑えるために、もともとある設備を流用するという考え方もあります。例えば、画像認識の仕組みを入れる場合、新たにカメラなどの設備を導入するのではなく、もともとある監視カメラと組み合わせるなど既存設備を上手く使って工夫をしてる企業も多くあります。
また、ネットワークが不安定な環境やどうしても一時的にオフラインになってしまう環境などでは、エッジデバイス側で機械学習の推論を行うようなアーキテクチャを構成することも出来ます。クラウド側で学習させたデータモデルをエッジデバイスにデプロイすることでエッジデバイスがネットワークに繋がらなくてもエッジデバイス自身で処理が出来るためです。
害虫駆除業界にDX?
害虫駆除の業界でもアナログな作業があるが故に手間も時間も掛かっているそうで、人材の確保や本来の駆除の方に力が入れられないという課題があるとのことでした。どの業界でも人材不足なんだなぁと感じながら話を聞いていると、害虫駆除業界では、環境調査とかのために、「トラップを仕込む」→「検査する」→「報告」→「必要に応じて対処/駆除」というような業務フローがあるそうなのですが、「検査する」という部分に手間暇が掛かってしまっているとのことで、この部分をAIにやらせられないか?というのを考えたのがきっかけでDXに取り組んだそうです。しかも昨今は、SNS普及に伴って害虫駆除業界にも影響が出ているそうで、飲食店の害虫とかはSNSで拡散されることがあるため、今まで以上に高い精度を求められているとのことです。そしてこの会社がなぜこのDXの取り組みにAWSを採用したか?理由は4つありました。
- AWSを触れるベンダーが多かった。
- 実現するためのサービスが大体そろっていた。
- グローバス展開がし易い(グローバル展開時の変更箇所が少ない)ため。
- サーバレスで出来る。インフラエンジニア、保守作業が極少なため。
マイクロサービス化されていてもそれらを組み合わせることで本当にやりたいことが出来てしまう点は本当にサービスが充実しているんだなと感じたのと同時に、今後色んな業種の色んな会社がシステムをマネージドサービスに移行していくと、インフラエンジニアとしてだけで生き延びていくのもなかなか厳しくなっていくんだなぁと危機感を感じながらセッションを聞かせて頂きました。
機械学習サービスと導入のポイント
- 機能のアップデートが多い。
- 機械学習の困難な課題を解決出来る。
- TensorFlowなど主要なフレームワークをサポートしている。
- 機械学習に最適化された環境がある。
AWSの機械学習サービスとして「AIサービス」「MLサービス」が展開されています。
「AIサービス」は機械学習の深い知識が無くてもAPIとして組み込むことができて、データを用意するだけでAPIから環境を利用出来ます。
・静止画・動画認識:Rekognition、Rekognition、Video、Textract
「Rekognition」「Rekognition」「Video」は静止画・動画の物体認識・顔分析など
「Textract」は画像の英数字テキスト認識。表形式、キーバリュー(キーと属性をペアで取れる。)
・音声処理:Transcribe
音声からテキスト変換。日本語含まない。
・テキスト処理:Polly、Translate、Comprehend
「Polly」はテキストから音声へ返還
「Translate」は言語間の機械翻訳。日本語含む。
「Comprehend」は文書の解析。日本語含まない。
・チャットボット:Lex
対話可能なボットを構築するサービス。音声は英語のみ。
・時系列データ予測:Forecast
過去の時系列データを与えるとそれにそった将来のデータを予測する。例えば売上とか交通量とか。
・レコメンデーション:Personalize
履歴データからお客様取ってベストなレコメンデーションを通知できる。
機械学習のモデルを拘束に開発・学習・デプロイできる環境として、「Amazon SageMaker」というサービスが用意されています。
これは「AIサービス」とは異なりコードを書く必要があるサービスとなります。AIサービスはAPIとして組み込むだけで使えますが「MLサービス」は個別にカスタマイズして使いたいときなどに使います。
並列・分散利用も容易で、APIを簡単に作れるところも特徴として挙げられます。
また、高性能なインフラストラクチャを自由に選ぶことができ、tensorflow、mxnet、Chainer、PYTORCHなどのフレームワークをサポートしています。
機械学習を取り組む際のポイント
・機械学習導入の狙いは決まっているか?導入して解決したいビジネス課題は何か?
・機械学習に取り組むチーム(ビジネス意思決定者、データサイエンティスト、MLエンジニア)ができているか?育成できてるか?育成できるか?
・機械学習導入の難易度は妥当なものか?やる意味はあるか?
・人間が解けないタスクは機械学習による代替が非常に難しい。人間が解けるタスクの自動化が一般的な機械学習の応用。
サービスは多いし、結局触ってみないと分からないので、今度検証しよー。
ポイントで言われていた通り、やっぱり導入の狙いが無い中で闇雲に機械学習に手付けるのは違うという自分の考えと同じで少し安心しました。しかしそんなことを言ってもチームを形成するためのエンジニアの育成はやる必要があると思いますし、学習コストに見合う恩恵が将来受けられるかどうかはその時点では分かりませんが、エンジニアの育成だけは早めに手を付けて行くべきだと感じました。じゃないと出遅れそう。なかなか会社としてこの領域に手を出さないのであれば、自分自身で学習を進めてスキルアップしていかないと取り残されてしまう不安も抱いたりしました。
DX推進のための、組織、人材育成、プラットフォーム構築
「情報学」「統計学」「ブランドの専門知識(領域知識)」この3つが重なってようやくデータサイエンスが出来ると言われています。
IoTシステムの進化のステップ
- 収益の向上
- 運用効率の向上
あらゆる業界でIoTは本番導入フェーズに入っているが、特に製造業界を中心に活用が進んでいると言われています。製造業界では「製品のIoT(スマートプロダクト)」「生産現場のIoT(スマートファクトリー)」のように2つのエリアでIoTが進んでいます。そんな2つのエリアで抱える課題は下記のとおりです。
24時間365日の稼働を満たすインフラが必要。
デバイス認証、セキュアな通信の仕組みが必要。
既存の環境設備からどうやってデータを収集して活用するかを検討が必要。
これらを支えるために、AWSでは以下のようなIoTサービスを提供しています。
・IoT Core
IoTデバイスに対するクラウドの入り口になってくれるフルマネージドサービスです。デバイスが幾ら増えようがスケーラビリティをユーザーが考えなくてよく、データに基づいたルーティング、処理、実行を担ってくれます。通常Analytics、DB、AIと連携して利用します。
・IoT Device Management
大量に接続されているデバイスをどのように管理するのか?などデバイスのライフサイクル全体を管理するサービスです。
・IoT Greengrass
AWSIoTの各種機能をエッジデバイスに拡張してくれます。オフライン環境でもエッジデバイスのみでデータ処理が可能になります。
・IoT Greengrass ML Interface
クラウドで学習したモデルをエッジデバイスにデプロイして機械学習の推論を行います。クラウドに繋がらなくてもエッジデバイスが推論処理実施します。
・IoT Analytics
IoTデータをBIしたい時や、機械学習するための準備として使うサービスです。解析に使いやすいデータに処理、変換、拡張を実施してくれるサービスです。AWSのサンプルテンプレートを活用して自社データを入力することで活用することが出来ます。
各種サービスについては机上で幾ら勉強しても結局は触っている方が強いので、今度検証を進めようかなぁと考えながら、結局はビジネス課題をしっかりと定義する必要があるということが重要であると分かりました。そのうえで実行段階に入れば、AWSはエッジ化からクラウド、データ活用まで包括的なIoTサービスを提供してくれています。
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